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N.O.S. w/box (旧お気に入りモノ図鑑)

自分の好きなモノ、気になるモノを紹介していくブログです。

Johnsonian の Punched Cap Toe 

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Endicott-Johnson のブランド、Johnsonian の punched cap toe。
デッドストックで、1950年代前半のものと思われます。

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この"GUIDE STEP"とは、より精密なメジャーリングに基づいた製法。

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これは1953年の「ライフ」誌に掲載された Johnsonian の広告。
「通常の靴が4カ所に対し、19の測定箇所、24年間にわたる81万人
の顧客の計測値を反映させている」というようなことが書いてあります。
「$9.95から」の文字も見えますね。
この当時のアメリカの平均年収から、現在の1~2万円くらいに相当
したと思われます。だとすれば、ちょうど平均的なアメリカ人が買えた
価格帯の靴、ということになるでしょうか。

CIMG0854.jpg


ですから決して高級な靴ではなかったはずですが、さすがにこの時代
のものだけあって、現在の基準からすれば上質の革が使われています。

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Endicott-Johnson Shoe Company は戦前から1950年代にかけ
て全米最大の規模を誇った靴メーカー。
当時、ヨーロッパのBates社に次ぐ世界第2位の製靴会社でした。

E-J社はワークシューズ、軍用シューズ、ドレスシューズ、子供靴など
幅広い分野の靴を製造していました。
1950年代のUS NAVY のサービスシューズはこの会社の手による
ものを良く見かけます。

CIMG0857.jpg


この Johnsonianブランドは、当時のドレスラインに与えられた名称
であろうと推察されます。他にも Endwell やワークラインではRanger
というブランド名が使われていました。
ちなみに、Endwell の当時のコピーは
"Wear the Endwell shoes and your day will end well."
というもの。これが名前の由来でもあるのでしょう。

アメリカの靴好きフォーラムで、E-J社のこの頃のデッド靴を多数持っている
という人がいました。何でも、廃業した古い靴屋さんの倉庫から大量に発見
したそう。サイズが合ったので、1足4ドルで、ほぼ全て買い占めたとのこと
で、写真がアップされていました。それがこれ。

Shoes-collectionvertical.jpg


何ともうらやましい限りですが、やはり40年代のものがいちばん素晴らしくて、
70年代のものは品質が著しく低下しているそう。これはE-J社の栄枯盛衰の
歴史と見事に符合しています。

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E-J社は"SQUARE DEAL"という、当時のアメリカのWelfare Capitalismを
最もよく具現化した労務管理を行っており、会社の敷地内に医療施設、学校、
スーパー、図書館、映画館やプール(↓)などのレクレーション施設をもつ
巨大なコミュニティを形成していました。

pool2.jpg


先のアメリカのフォーラムで、「祖父も父もE-J社で働き、私自身もその中で育
った」という投稿がありました。E-J社は従業員用に住宅も販売し、そのための
金融機関も経営していたそうですから、これはもう、企業城下町を超えたもの
だったのでしょう。

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<1917年当時の Endicott Johnson社の工場での作業風景>

特徴的なのは労働者の給与システム。靴製造の仕事は分業制で、靴の材料が
入った棚が各作業場に移動してくるのですが、その棚にはクーポン券が付いて
いて、自分の仕事が終わるとそのクーポンを取る。
そうやって集めたクーポンを、週の終わりに精算所へ持って行くと現金化してくれ
る、というもの。仕事はきつく、低賃金ですが、このクーポン制によって低賃金の
埋め合わせがされていたそうです。
労働のモチベーションを上げる工夫というところでしょうか。

school.jpg

< Union-Endicott Johnson High School >

70年代に入り、外国からの安い靴の流入やスニーカーの台頭によって、E-J社の
経営は傾きます。社員を抱え込み過ぎたことが、他のメーカーのような生産拠点
の海外移転を難しくしたのだろうと思われます。
大企業であったからこそのアイロニーですね。

日本版Welfare Capitalismであった終身雇用制が崩れ、非正規雇用者が増えた
現在の日本の状況を想起させますね。

Comment

Name - 菊地 修  

Title - 

楽しくて今日も投稿です。
私もpunched cap toeには、目が無くこの1品を見た時ただただ驚きです。実に綺麗で上品な靴です。Fittingは、BかCですか?平紐がより大人ぽく演出しています。この種の靴のポイントは、全体のスタイリング、色です。AlanMcafeeの同タイプを履いていますが、紐の編み上げ方が、英国調なので英国靴と間違えました。当時のアメリカ人の職人力を感じます。
上質なフランネルのスーツに履くとケーリーグラントの世界です。
素晴らしいの一言です。
2009.05.22 Fri 23:11
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