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マイナス・ゼロ 広瀬正

広瀬正のSF小説。広瀬正は日本SF草創期を支えたSF作家の一人で、SFのジャンルの中でも特に『タイムトラベルもの」にこだわった作家として知られています。惜しくも若くして亡くなったので、発表された著作はわずか6冊に過ぎませんが、どれも佳作ぞろいです。その中でもこの「マイナス・ゼロ」はタイムトラベルものの最高傑作だと思います。緻密なタイムパラドックスの構成もさることながら、昭和初期の(特に銀座周辺の)東京の描写はまるでそこにいるかのように読者を引き込みます。
物語は昭和38年から始まります。技術者である浜田俊夫は、戦時中の空襲の際に隣家の「先生」と交わした約束を果たすために、当時の「先生」の家を訪れます。そこで彼は空襲で行方不明になったはずの「先生」の娘である啓子と再会します。しかも啓子は失踪したときのままの姿、年齢のままなのです。「先生」がタイムマシンを使って啓子を未来へ送ったことを知った俊夫は、そのタイムマシンに乗って過去へ戻るのですが、ひょんなことから昭和初期に取り残されてしまうのです。。。
もう最初からストーリーに引き込まれてしまいます。この小説を初めて読んだのは中学生の時で、それまで本を読むというのは1週間がかりだったのですが、この本に限っては徹夜で一気に読んだ記憶があります。その後も何度読み返しても最後まで読んでしまうほど面白いです。映画化されないのが不思議なくらいです。
彼の著作は集英社文庫で昔出ていましたが、絶版になり、1996年に一旦再刊されたものの現在はまた絶版状態のようです。古本屋やオークションで探す以外ないかと思いますが、意外とブックオフとかで見かけることもありますので、見つけられたら是非おすすめします。
Name - 藍色
Title -
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復刊、うれしかったですね。
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