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N.O.S. w/box (旧お気に入りモノ図鑑)

自分の好きなモノ、気になるモノを紹介していくブログです。

1987年、夏。アトランタの映画館にて。 


ちょうど30年前の夏、私はアトランタにいた。
長いアメリカの大学の夏休みを利用して、グレイハウンド・バスで西海岸まで
行ってみようと思い立ったのだ。

グレイハウンドとは長距離バスで、格安でアメリカの主要都市を結んでいる。
2週間乗り放題のパスを買ったのだが、最初に入れられるべきパンチ穴を
係員が忘れたため、この後、1ヶ月ほどタダ乗車することになる。

大学はアトランタの北60マイルほどのアセンズという町にあった。
グレイハウンドに乗るために、まずはアトランタに来たのだった。

実質的に初めてのアトランタ。
どこに行って良いか分からない。

バスは夕方発。
少しアトランタ見物をしようと思って朝着いたが、さすがに時間をもて余す。
街をぶらついてみたものの、南部の殺人的な日差しが容赦なく照りつける。

とりあえずバスターミナルに行ってみる。
コインロッカーに荷物を押しこみ、コーラで一息つく。
アトランタはコカ・コーラの本拠地であり、驚くほど安い。
他の地域の半額くらいだったと記憶している。

さて、どうしようか。

さすがにココで何時間もバスを待つのはもったいない。
CNNの本社に行ってみることにした。
この夏、CNNセンターが出来たばかりであり、TVでそのニュースを
見ていたからだ。

CNNセンターに着いてみると、映画館が併設されていた。
今でいうシネマコンプレックスだが、当時はまだおそらく日本にはなく、
私には目新しかった。

ラインナップを見ると、‘GONE WITH THE WIND’がある。
アトランタのご当地映画「風と共に去りぬ」だ。
365日、ずっとやってるらしい。



gone.jpg



料金もこの映画だけ格安だった。
入ると、観客は私を入れて4人だけ。

黒人のおじいさんと、若いカップル。
ポップコーンとバケツのような巨大なコーラを買いこんで
(当時はアメリカの映画鑑賞スタイルはコレだと頑なに信じていた)
この歴史的名画を初めて観た。

前のおじいさんはどうも寝てるように見えるし、左のカップルはいちゃついてる。
真剣に映画を見てるのは私だけのようだ。

観たことがある人は分かると思うが、この映画、すごく長い。
ゆえに、途中でインターミッション(休憩)が入る。
トイレから戻ってくると、おじいさんが話しかけてきた。

南部なまりがひどく、あまり聞き取れないが、
「良い映画だろう。俺はこれが大好きなんだ。毎日来てる。気に入ったか?」
みたいなことを言ってるようだ。
あんた寝てたじゃん、と思いながらも、
「はい。これ、アトランタが舞台なんですよね。」と答えると、嬉しそうに
「そう、そう、アトランタ。そうなんだよ」と。

地元の人にとってはブレーブスとこの映画は自慢であるらしい。

映画が終わると、そのおじいさんが近づいてきた。
「ちょっと一杯付き合わないか?」と。

映画に良く出てくるようなダイナーで、バス出発までの間、その名も
知らぬおじいさんといろいろ話した。

私が日本人だと知ると、「ボブ・ホーナーは元気か?」と。
ボブ・ホーナーとは、前年までアトランタブレーブスの中軸を打っていた
バリバリのメジャーリーガーで、この年ヤクルトに移籍していた。
日本では「赤鬼」なんてニックネームで呼ばれてた。

「ああ、何かすごく活躍してるみたいだよ」
「そうか、そうだろう、そうだろう。 何て言うチームだっけ?」

ヤクルト・スワローズだよ、と答えると、
「SWALLOWS? ハハハ、そいつは良いや。SWALLOWSね、あっはは」

どうも何かの琴線に触れたらしい。

別れ際、「気を付けてな。あまり大都市には行かない方がいい。物騒だからな。」


夕闇せまるアトランタの空の下、バスが走り出した。
1987年、夏。 私は20歳だった。







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Comment

Name - しんのすけ  

Title - 

ひまなので、また書いてしまいました(笑)。若いときの独り旅のいいお話し、ありがとうございました。
アトランタ、20年前ですが、行ったことあります。新婚旅行がペルーだったので、日本への中継点。ガイドさんが、ダウンタウンに食事に連れていってくれたのですが、休日だったので地元のレストランが開いてなく、なぜか中華をたべたのを覚えてます(笑)。
90年代後半の街は、あまり栄えていない印象。ガイドさんが、CNNの本社があるという話をしてました。当時のCNNの報道は、中道左派らしいですが、いまはどうなんでしょうね。これだけ、戦争がおおいと、右傾化してる可能性ありますね。
そのとき『風とともに去りぬ』の話もききました。駅馬車のシーンが有名ですよね。ヴィヴィアンリー、かなりわがままなキャラクターですが、これがアメリカなんだなーと思って見てました。たぶん、大人になって理解できる映画、ですね。以上、長文お騒がせでした。
2017.09.03 Sun 13:41
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Name - europeanblend  

Title - Re: タイトルなし

しんのすけさん、

駄文にコメント戴き、ありがとうございます。
深夜、酔いに任せて書いたので、朝自分で読んで恥ずかしいという(^^ゞ
ありがちなエッセイのパロディ、と受取っていただければ(笑)。

アトランタは今また発展しているようですね。
この後、南部諸州をグレイハウンドで巡りました。

行動力に乏しい自分としては、よく思い切ったなと(^^ゞ

私、ビビアン・リーのファンでして、高校のときでっかいポスターを
部屋に貼ってました。

ぜひ身体が動くうちにまたアメリカを旅してみたいですね。
仕入れツアーになる可能性が高いですが(笑)。
2017.09.03 Sun 19:36
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Name - なおけんた  

Title - 

いいですねえ、アメリカの思い出。
私はアメリカ好きのくせに一度も行ったことがありません。
ていうか、海外は一度しか行ったことがないんですよ。しかも中国。しかも仕事で一週間のみ。
新婚旅行は北海道ですし。
外国に行く勇気も金もない男だったんです(笑)。
おまけに大学すら地元、仕事も県内就職と、一生宮崎。
海外とかいうレベルですらない。
常々、我が子達には「人生には経験が必要だ。経験が人を成長させる」などと言っているのに、自分が一番経験不足(笑)。
今でも海外は憧れであり、わずかながら怖さを感じています。
嫁さん(この人は独身時代にNYにダンスの自主研修に行ってます)とは「宝クジ当たったら、家族全員でアメリカディズニーランドに一ヶ月くらい滞在しようか」などと夢を語っています。
嫁さんが一緒なら大丈夫かなと(笑)。
発想の全てが小ちゃいですねえ。
2017.09.03 Sun 23:59
Edit | Reply |  

Name - europeanblend  

Title - Re: タイトルなし

なおけんたさん、

私もアメリカに憧れたクチですが、実際行ってみると、
差別も受けましたし、貧富の差も目の当たりにしました。
この長距離バスの乗客は飛行機に乗れない層でしたから、なおさら。。。

空港から現地の外国人向けリゾートに直行するのも
良いですし、安全面を考えるとそうせざるを得ないかも
しれませんが、安バスで安宿をめぐる旅は等身大のその国
の様子が分かりますね。
ま、一人で若かかったからできたのでしょうけど。

当時、円高が進行していたとはいえ、1ドル200円くらい。
今はその半額ですし、飛行機代も比較にならないほど安いので、
かなり行きやすいですよね^_^

2017.09.04 Mon 11:05
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Name - スニゲーター  

Title - 

いいですねぇ・・・。
海外でドライブシアターや、名画座で古い映画を、一切手入れされていない状態のものを楽しむのが僕の夢の一つです。
僕の英語力では、今生において叶えられそうもありませんが・・・。
2017.09.04 Mon 17:25
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Name - たかよひ  

Title - 

europeanblendさんは、私の1つ先輩なんですね~
改めてよろしくお願いいたします。

同じ頃私は、勝手に東京に飛び出して来て、新聞奨学生の押し込められるタコ部屋で
濃ゆい連中と、濃ゆい生活を送っていました。
爽やかさのカケラも無いw
2017.09.04 Mon 17:42
Edit | Reply |  

Name - europeanblend  

Title - Re: タイトルなし

スニゲーターさん、

> いいですねぇ・・・。
> 海外でドライブシアターや、名画座で古い映画を、一切手入れされていない状態のものを楽しむのが僕の夢の一つです。
> 僕の英語力では、今生において叶えられそうもありませんが・・・。

南部には古い映画館が結構残ってると聞きます。
その辺をめぐるのも楽しそうですね。
あと10年もすれば眼鏡型とかの自動翻訳機もできるのではないでしょうか。
AIが凄い勢いで進化してるので、、、
2017.09.05 Tue 09:32
Edit | Reply |  

Name - europeanblend  

Title - Re: タイトルなし

たかよひさん、

んじゃタメ口でいいですかね(^^ゞ

http://www.dailymotion.com/video/x5rw71t

「えっ、俺の方が1コ上?」(笑)


新聞奨学生って、タイヘンなんですよね。
私も調べたことがありましたが、断念した記憶があります。


その代わりバイトはいろいろやりました。
映画館の映写係、長野のプリンター工場、病院の深夜受付、
塾講師に家庭教師。。。
単発で食品冷凍庫の作業とかも。あれは日払いの定番でしたが
まだあるんでしょうか、、、
2017.09.05 Tue 09:51
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Name - Iron  

Title - 

長距離バスで西海岸まで、いいですねえ。
こんなの読むとワクワクしますし、ウズウズしちゃいます。

私の海外の魅力はカルチャーショックを受けるところでしょうか。良いも悪いも含めて。人との交流もすごく親切にされたりする反面、騙されたり差別されたりもありますが、全て含めて楽しんでる自分がいます。

アメリカはThe観光地しか行った事ないので、ローカルなアメリカも見てみたいです。
2017.09.05 Tue 12:22
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Name - europeanblend  

Title - Re: タイトルなし

Ironさん、

私が今でもバス旅が好きなのは、この時の記憶があるからかもしれません。
移動手段ではなく、そのものが旅の目的の一部というか。
車窓を流れる風景もスピード感がちょうどいい、というのもありますね。

レンタカーも良いですが、運転すると景色前方しか見れないので。

この時は単にお金が無くてのローカル旅でしたが、だからこそいろんな
ハプニング満載で、楽しかったですね。バックパッカーの気持ちが分かった
ような気がします。

2017.09.05 Tue 14:05
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